76話 暴徒達の海岸③結成！ダブルドラゴン若草物語

「あの権田って人、柔道とかやってる人で…なんか僕、転校早々誤解されちゃって…」
「っていうか、誰だよお前」

未開封が偶然助けた少年は、望と名乗った。土手に腰掛ける二人。そんな二人に望の知り合いらしい親子連れが声をかける。「あ、お笑いのお兄ちゃんだ」「相方が見つかったのね！」

違うんですと言おうとした望の声をさえぎり、反射的に「ど〜も、ダブルドラゴン若草物語です…」とつぶやく未開封。「え、あんた今会ったばかりじゃないか！？」

「ショートコント!飛行機。」
未開封の無責任な発言で、やおうなく開始されるショートコントに巻き込まれる望。たどたどしくも「あ、アテンションプリーズ…」と言ってしまう望。「へい！アテンダント!」と未開封。しかし乗客役の未開封の注文は「暑いから窓開けていい?」「お腹すいたから、あの丸いのかませてくれ。よだれがダラーッ出るやつ」「ジンジャェールを…をハイヒールに注いで飲ませてくれ」「毛布を、見下しながら掛けてくれ」などと無茶だらけ。「無茶苦茶じゃないですか!」「ここは飛行機だ!SMじゃないんだ!」と意外とノリノリで突っ込みを返す望。

「あら、意外とテンポいいわねぇ」とお母さんにも評判。

「もう〜〜〜暑い!」と窓を突き破る未開封。口で落下音を奏でながら、生々しく目玉が飛び出したり、血が噴出す様子を身振り手振りで再現する未開封。地面に着地し、「お母さん〜〜〜〜〜!!マキロン〜〜〜!!」

「あ、お母さん!いたい！しみる!あ〜〜いいともみよ!」望が突っ込む暇も与えず、場面転換する未開封。「そうですね〜〜〜！そうですね〜〜！あ〜〜うるさい！」また窓を破る未開封。再び人体炸裂の様子を全身で描写。地面に倒れこむ未開封。うなり声をあげながらゾンビとして復活。望に噛み付こうとするが、やけに口臭を気にして歯を磨く演技をする。「気にしすぎ!」

「お母さん!すごい!ショートコントといいながら、ぜんぜんショートじゃないよ!」
「ほんと、新しいお笑いだわ!」と見ていた二人は興奮。

「問題は、テレビで放映できるかどうかね」
手を引いて去っていく親子の姿を見ながら、「へっ…まだ4割だぜ」とはき捨てる未開封。
そんな未開封を見て、（むっちゃ汗かいてるやん…）と思う望。

その頃、近くにある工事現場で傷まみれの中年の男が救急車で運ばれる。「被害者は42歳の男性、数名の若者にリンチされたと証言しています…」警官が無線に向かってしゃべる。