生活衝百科2

ラッパー東京未開封( Smash Egg Records)(EX ZIGOKU-RECORD)が人生というクイズに挑戦します!!!正解したら褒めてくれ。

71話 月と星⑪夜の始まり

はいじを頭に置いたパシリは、高架上から落下。そのままトラックの荷台へ落ちる。トラックは夜の高速をひた走っていく。


その頃、耕平達は古びた洋館の前にたどり着く。そこはシオン達が盗みに入った洋館であり、葉月が昔暮らしていた場所らしい。門が開き、一人のメイドが彼らを出迎える…。彼女は、耕平の同僚の祐美だった。


「ひとつ…」トラックの荷台で正座しながらパシリは、横切る料金所の数を数えていた。


耕平たちが祐美に招待されたのは、蝋燭の紫の光に照らされた食卓、「毒は無いようです」「これが最後の晩餐ってわけか…」と食事をとることに。自分の事を「ルナお嬢様」と呼ぶ祐美に眉を潜める葉月。その脳裏には自分と一緒に笑う祐美の姿。「あんただけは許せない…キンケル!」


トラックは高速を飛ばしていく。「あれでも、たいそう難儀な道を歩んでこられたんじゃ…」と、はいじは葉月が長い間ドイツにある城に、吸血鬼の王である父親に監禁されていた事、耕平たちに助け出され、生き別れになった母親を探す為に日本に渡った後も父親の刺客におわれている事を語る…。


そして彼らは刺客の一人、キンケル伯爵を倒しに向かっている事もパシリに教える。「伯爵は強い。耕平の祖父の竜平、耕平の従兄弟の成児、陰陽師二人掛でも退けるのが精一杯じゃった…。そこでおぬしの腕力を借りたいのじゃ」「別にあんないたずらっ子助けに行くんじゃないムギ!」とそれでも怒りが収まらない様子のパシリ。横には再び料金所の看板。「ふたつ…腹減ったムギ〜〜!」トンネルにパシリの声が反響する。


「ではデザートに致しましょう、ルナお嬢様…」と祐美は自分の首筋にスタンガンを当てる。倒れる祐美。「祐美姉さま…!」と悲鳴をあげる葉月。しかし祐美は何事もなかった様に起き上がり、伯爵の下に案内すると言う。…耕平たちの表情にもいっそう強い怒りの色が浮かぶ。


「みっつ!!」トラックの上をダッシュし、違う車線を走っていったワゴンに飛び乗るパシリ達。しかし、足を滑らせ、そのままバランスを崩したパシリは料金所の前で振り落とされてしまう…。地面に落ちたパシリに迫るダンプ。


緑色の廊下を進む、3人。違和感を感じ、周囲を見回す葉月と成児。しかしそのまま先に進む…。やがてたどり着いた部屋に覚えがある葉月。


目の前にある大きな絵は葉月の母のものだった。懐かしむ葉月…しかし、成児はその絵が自分達が惨殺される絵と、閉じ込められる葉月が描かれた絵に変わっていくのに気づく。


「それはまもなくあなた達に訪れる現実です」
葉月の母の声に葉月達が振り向いた先には赤いドレスを纏った、葉月の母の姿があった…。しかしすぐにキンケルの変身だと気づいた葉月。母の姿をした伯爵の手から、鎖がのび、鉄球が葉月たちを襲う…。


滝が流れる岩場。そこに沸いた温泉で額の傷口を洗うパシリ。「怪我ないムギか?」とはいじにたずねる。心配そうなはいじに向かって、「別に…誰の為でもないムギ…。強いて言うならたまプラーザの為にやるムギ…!」と言い顔を洗うパシリ。


廊下に吹き飛ばされる成児。飛んでくる剣。葉月の赤いランドセルから聖水とにんにくを取り出す耕平。しかし、耕平の前に向かってきたのは成児。成児を襲ってきたのは耕平だった。


成児の姿をした伯爵に首を絞められる耕平。札を飛ばす成児。耕平の姿は消え、違う部屋に移動しているのに気づく。伯爵の術中に嵌められていると気づいた葉月は「私だけが狙いじゃないの!?」と声をあげるが、「聴けません…この者たちは、我々の秩序を乱す不心得者を排出します」と伯爵は声のみで応える。


分断された3人。踊り場で伯爵に首を絞められる耕平。「わたしが憎いか…?ハハッ…その憎悪こそ私の喜び…」耕平が怒りを露にするとさらに力を強める伯爵。


「どうせお前にはなにもできん、それが我らと人間との絶対的な力の差だ…しかし、その下等なものからお前のようなバンパイアの恋人が生まれるのもまた事実…。そのような不条理、絶対に認めんッッ!」その時、屋敷の扉が開いた。


「上じゃ!」踊り場に伯爵を見つけたパシリは「うぁ゛ーっ!!」と叫びながら、階段を駆け上がっていく。そしてそのまま放ったアッパーが、伯爵の肘にあたる。


「下から仕掛けるバカがおるか!」と抗議をあげるはいじ。月明かりの中、にらみ合うパシリと伯爵…。