生活衝百科2

ラッパー東京未開封( Smash Egg Records)(EX ZIGOKU-RECORD)が人生というクイズに挑戦します!!!正解したら褒めてくれ。

84話 暴徒達の海岸⑪さようならバビロン

「リアルにやるぜ!ビッグ・コッタ!」
「渋谷のドン!」
「マジ興味ねぇ」
「チェンジ・ザ・ゲーム」

未開封の声が、部屋に反響する。
未開封とホーストはビック・コッタ*1で遊んでいた。

「もう飽きた!ただのあっちむいてホイじゃねぇかこんなの!」ベッドに大の字で横たわる未開封。「三日もこんな遊びしてらんねーよ!お利巧にしてらんねーよ!外でようぜ!」ホーストはそれを首を横に断る。舌打ちをひとつして、部屋から出て行く未開封。


家のドアを開けるとそこは一面の野原。
「なんかくせー!」と叫び、妙なテンションで駆け回る未開封。


「ひゃははははつ!」
大きな屋敷の前で洗濯物を洗ってる子供たちが手を止めて、遠くで走り回る未開封の姿を見る。

―――いい考えを待っていた―――


丘の上にある一本の木を目指して走り続ける未開封。
フードの下から、にじんでくる汗。


やがて、木に近づいていく未開封。
下を向いて、気に触る未開封。
汗がにじんだ顔を上げる。
木漏れ日。
木の根元でぶっ倒れる未開封。
上下する胸。


脳裏によぎる、顔面に降りそそぐ小林のローファー。
腕で顔を隠す未開封。
風。
「このまんまでいいかも…」
ピューとなる喉。
「しけんもなんにもない…」


馬車に乗った農夫。


――楽しいな〜楽しいな〜―――

白い洗濯物干す子供たち。


―――しけんもなんにもない♪―――

「へへへ…」
腕の下から歯をみせて笑う未開封。
再び吹く風。


沈んでいく大きな夕日。
「寒っ…」
木の下で体を起こす未開封。
あたりを見渡し、身を起こす未開封。

ゆっくりと歩き出す。
夕日に伸びていく影。

舗装されていない道をける灰色のスニーカー。
すれちがった農夫に「おつかれっすー」と声をかける未開封。
未開封を二度見する農夫。

農夫の目に映る未開封が伸びをする。
「あー空気がうめぇや…」


紫色に染まっていく空。
「よっこいせー」
未開封は柵に腰掛け、空を拝む。
動く、未開封の口。
「さようならバビロン及びに情報社会」
宙に伸びていく、未開封の中指。
フンと鳴る未開封。


正面に向き直る未開封。
突然頭を掻き出す。
「やべ…これからオナニーとかどうしよう」
頭を掻き続ける未開封。


日が暮れたあと…。
未開封はメイベルの家の前まで来た。
「あれ?なんかドア開いてるし…。」
ドアからこぼれる家の灯り。
その前に、数人の男達が立っていた。

「待ってください!!」
声とともに家の中から飛び出して、倒れこむホースト
あわてて、走り出す未開封。


ホーストに続いて出てくる、杖を持った男とメイベル。


「ミセスメイベル…。あなたはわたしの友人の客人だが…この無法者をわたしの土地に一秒でも置いておくわけにはいかんな…」
ホーストを見下す杖を持った男。
「では…スクワイヤは私の言うことが信じられないと…」
「リサッ」
遮って大声を上げる男。
男とメイベルの後ろから、出てくる小柄な白いエプロン姿の少女。
「この男でいいのだな」
小さく、声にならない声で答え、うなづく少女。


もたれながらも、かけついた未開封。
「おいっ!」
男達に二人がかかりで止められる。
ホースト!」
地面に転がったまま、震えたホースト
「オイッ、なにか弁明しろ」
杖で小突かれるホースト
未開封の眉間に次第によっていく皺。


―――考えるより先に…体がカッカッしていた…―――

*1:http://www.geocities.jp/megaroman/kotta1.htm