47話 さむらいとタウンエース

「お姉ちゃんはいいんだけど、あのヒッキーはありえないっしょ。あとお前の「千原兄弟の弟の方も同い年で引きこもってたとかよ、甘い言葉かけてんじゃねーよ、気持ちわりーよ」と、トモちゃんに非難される未開封だが、なぜか怒らない。

翌日、親友のタウンエース（あだ名）とともに溝の口に新作ゲームのロケテストに出かける。雀鬼桜井章一をリスペクトし、勝負としてのゲームに拘るストイックなゲーマーであるエースと、自分の2次創作をHIPHOPだと信じて疑わない未開封は不思議と馬の合う親友同士だった。

通路で同じロケテストに来ていた一団の中のひとり、笹原と肩が触れる未開封。ゲームセンターから出た未開封たちは、近くに出来た同人ショップを発見する。「こんなとこに俺のはおけねぇわな」「おう」「でも、メジャーは無理だしよ、法律とレイジストしてんだよ」「おう」「路肩で売るか、お前のバン使って」と、外から値踏みするように見る二人。再び店内に笹原達を見つける。

次にいったカラオケ屋のトイレでまた笹原と隣あわせになる未開封「…チッ…んこ」そして最後に立ち寄ったカレー屋でも一緒になり…。彼らの会話に「ざけんな」と小声で吐き捨てるが、それが聞かれてしまう。勢いに任せて立ち上がった未開封は、椅子に足をひっかけてコケ、そのまま隣のやくざの白い上着にカレー付のキスをしてしまう。

外でやくざに囲われる未開封。何発か殴られるが、「ブッ刺す!」とポケットに手を突っ込んだ未開封を見て、やくざ達は刃物を持ってると勘違いして逃げる。路上に座り込んだ未開封。人を連れたエースがすぐにやってくる…。しかし、野次馬の中に笹原を見つけた未開封は突然立ち上がり、一目散に彼に飛び掛る。

笹原を追い、立体交差を走る未開封。興奮のあまり鼻血が出る。駅で笹原をおいつめた未開封は壁を背に怯えて丸まった笹原に向かい、壁に手を突き怒鳴る「友達なんかきぃひん…趣味でもない。集団の和だの、空気だの!壊すのが美徳の世界じゃ!抜いて、笑って、その場しのぎの人付き合いの潤滑油にするよーな…そんなもんとちゃうわ!!!俺のは残酷なんじゃ、相手の首はねるような、残酷な勝負なんじゃ!!自分の首はねて、はねて、はねて…!!」怒鳴るだけ怒鳴った未開封は、笹原の紙袋を踏んで去っていく。鼻血は止まらなかった。