41話 大怪我(凍傷mix)
街中をぶらついていた未開封に声をかける女性。彼女は中学の同級生、冬田雪乃だった。
当時、孤立しがちだった雪乃。同じように周囲から浮いていた未開封だったが、その時は「隣のクラスの嫌な女」としか彼女を見ていなかった。しかし、自分を覚えていたことが素直にうれしい未開封。
ラジオ局の前に座り話す未開封。金はないけど一人暮らしをしたいんだけど…という話を彼女にすると、野宿をすればいいと言う。自分もずっと野宿をしていると。相変わらず変わった奴だな。と心の中でつぶやく未開封…。
その時、昔、雪乃が校舎裏で泣いていたのを見たのを思い出す。思い切ってその事を聞いてみると、雪乃は「悔しくて泣いていた」とだけ答える。
いつの間にか話は盛り上がり、二人とも「小学校の頃が一番楽しかった」と、意見が一致する。少し、邪な感情をこめて「この後暇か?」と聞く未開封。…しかし、彼女はこれから電車にのって、自分の通っていた小学校の同窓会に出るという。そのうれしそうな表情に未開封は何も言えなくなる。
立ち去る彼女に向かって「悔しかったのは、周りに裏切られたからじゃねぇか?」と聞く未開封。未開封は、彼女に共感にも似たものを感じていたことに気づいたのだ。…しかし彼女は何も言わず、笑い返して去っていく…。
未開封の頭の中で、また長渕が、今度は『とんぼ』を唄い始めた…。
おめおめと生き抜く、自分を恥らいながら…。冷たい風に横っ面を吹かれながら…。